1996
ドリームはジャンボ
「は、は、博士ぇーっ!、つ、つ、遂に完成しましたっ!!」「おお、助手よ、ここに長年の研究の成果が、今まさに実ろうとしているではないかっ!!」
「で、今回の発明は一体なんなんですか?」
「うむ、よくぞ聞いてくれた。これはじゃな、宝くじの当選番号をズバリ予言してしまうマシンなのじゃっ!」
「そ、そ、そんなことができるのですかっ!」
「マトモに説明すればとても原稿用紙5枚に収まらんからはしょって言うぞ。つまりだな、宝くじに限らず、この世の全ての事象においてその原因と結果はあらかじめ決まっておるのだ」
「むむっ、それはどういうことですか?」
「よいか、ここにサイコロがある。わしが今からサイコロをふるとしよう。どの目が出るかはサイコロをふるまで判らないが、1から6のうちのどれかであることは確定している。つまりじゃ、何が出るか判らないだけで、出る目はもう決まっているということじゃ」
「うーむ、わかったようなわからないような。とにかく博士、百聞は一見にしかず、その成果を見せてください」
「おうよ。まずこのサイコロの目を予言するとしよう。スイッチ、オーンッ!」
「あーっ、出ました、6です!」
「よし、ではサイコロをふるぞ」
「おわーっ!、ろ、6だあーっ!!」
「よし、実験成功じゃ」
「博士、昔バイトでディーラーかなんかやってませんでした?」
「ばかもん、わしゃ科学一筋五十年じゃ」
「すいやせん、そのサイ、改めさしてもらいやす」
「こらこら、噛むんじゃない割るんじゃない」
「あっ、イカサマじゃない」
「だから言っとるだろーが」
「こ、この落とし前は、てめえできっちりつけやすぜ!」
「こらこら、この本回収になるぞ」
「はっ、それはまずい。では博士、早速今度のサマージャンボ宝くじの当選番号をっ」
「あいわかったぞ助手よ。目指せ一億五千万、人生やり直しだスイッチオーンッ!!」
「あーっ、で、で、出ましたっ!!、に、26組、123512ですよ博士ーっ!!」
「ああ……こ、これでわしも億万長者に……」
「……で、博士、その番号のくじ、どこで売ってるんですか?」
※コバルトベストショートショート97年4月号入選
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